公務員の扶養手当はいくらもらえる？支給要件と130万円の壁【妻・子供】

地方公務員の給与には様々な手当が含まれています。

その中でも扶養手当は少し複雑で、知っておくべきポイントがたくさんあり、知らないと後で返金しなければいけなくなります。

この記事では、地方公務員がもらえる扶養手当についてわかりやすく解説します。

配偶者や子供だけでなく、父母や兄弟姉妹も対象になる場合があること、そして所得制限についても解説します。ぜひ最後までご覧いただき、扶養手当に関する知識を深めましょう。

公務員の扶養手当の支給額【配偶者（妻）・子・父母・祖父母等】

「扶養手当」とは、配偶者や子供などの扶養家族がいる職員に対して支給される手当のこと

公務員の扶養手当は以下の通りです。

扶養親族の続柄	扶養手当支給額
配偶者※	6,500円
子	10,000円
子（16歳～22歳の年度）	15,000円
父母	6,500円
祖父母※	6,500円

※課長級職員（行政職給料表8級相当）の場合は3,500円、それ以上の職位は支給されません。

公務員の扶養手当支給要件【配偶者（妻）・子・父母・祖父母等】

ここまで、扶養手当の支給額について紹介してきましたが、扶養手当が支給されるには、どのような条件があるのでしょうか。

扶養手当の支給対象者として認定される要件は

・他の人の扶養になっていないこと
・続柄・年齢・所得に関する要件（以下で紹介）

それでは、続柄・年齢・所得に関する要件を紹介していきます。

扶養手当の支給要件【配偶者（妻）】

配偶者（妻・夫）は事実上の婚姻関係を含むとされています。

（扶養親族の範囲）

第二条　「他に生計の途がなく主としてその職員の扶養を受けている者」は、次に掲げる者は含まれないものとする。
一　職員の配偶者、兄弟姉妹等が受ける扶養手当または民間事業所その他のこれに相当する手当の支給の基礎となつている者
二　年額130万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者

引用元：人事院規則9-80 扶養手当（抜粋）

「扶養の範囲内」で働くには、年収130万円を超えないようにしなければなりません。

この場合の年収は見込み年収と言われるもので、直近3ヶ月間の収入から判断されます。130万円を12ヶ月で割ると、1ヶ月あたり10万8,333円です。

これが被扶養者として認められるかどうかのラインとなり、この金額を超えてしまうと翌月から扶養手当の支給がなくなります。

扶養手当の支給要件【子ども・父母・祖父母等】

（扶養手当）
第十一条　扶養手当は、扶養親族のある職員に対して支給する。

２　扶養手当の支給は、次に掲げる者で、他に生計の途がなく主としてその職員の扶養を受けているもの。
一　配偶者（内縁含む）
二　子（満22歳到達後最初の3月31日まで）
三　孫（満22歳到達後最初の3月31日まで）
四　父母・祖父母（満60歳以上）
五　弟妹（満22歳到達後最初の3月31日まで）
六　重度心身障害者

引用元：一般の給与に関する法律

それぞれ解説しますね。

子ども

子どもが扶養に入っている場合、扶養手当を受ける資格がある期間は、子供が22歳に達する年度の3月31日までです。

ただし、条件は「22歳になる年度まで」なので、浪人や留年した場合でも、22歳の年度が終了したら扶養手当は打ち切られます。

また、配偶者の場合と同様に、子供が学生であっても、年間収入が130万円以上ある場合は扶養から外れるので、注意してください。

父母・祖父母

60歳以上であり、年収130万円未満であればもらえます。ただし、年金受給者であれば180万円未満までOKです。

別居の場合、主たる扶養者を証明するために3か月間の送金事実がわかる書類（銀行振込履歴等）が必要です。

公務員の扶養手当はいつからもらえるの？【届け出・支給開始・終了】

公務員の扶養手当【届け出と支給開始】

扶養手当の支給開始に関するルールは以下の通りです。

・月の初日に扶養親族になった場合→当月から支給開始
（４月1日出生→4月分から支給開始）

・それ以外の日で扶養親族になった場合：翌月から支給開始
（4月2日出生→5月分から支給開始）

扶養手当の支給を受けるためには、人事担当にすみやかに届出を行う必要があります。

例えば、事実発生日の翌日から15日経過した後に届出した場合は翌月からの支給になってしまいます。

（例：4月1日出生→4月18日届出→5月分から支給開始）

事実発生日の翌日から15日経過した後に届出した場合：受理した月の翌月から支給が開始されます

支給要件を満たさなくなった場合

月の初日に要件を満たしていれば手当の支給対象となります。

・月の初日に要件満たさず→当月から支給なし
（４月1日就職→4月分から支給なし）

・それ以外の日で要件満たさず：翌月から支給なし
（4月2日就職→5月分から支給なし）

扶養手当の支給要件を満たさなくなった場合、すみやかに人事担当へ申請手続きが必要です。特に、年間所得が130万円を超える見込みがある場合、例えば、3か月間の平均所得が10万8,333円を超えた場合には、扶養から外すための申請をしてください。

公務員の扶養手当の不正受給の処分は厳しい

扶養手当の不正受給が発覚すると懲戒処分になります。

減給もしくは戒告が一般的な処分となっていますが、さらに厳しい処分例もあります。

税務署職員 “扶養手当 約１４年間不正受給”で停職処分

香川県内の税務署に勤務する５０代の男性職員が、実際には扶養していない別居する両親を扶養しているかのように装い、去年１２月までおよそ１４年間にわたって、扶養手当などあわせておよそ２６８万円を不正に受給していたとして、高松国税局は、停職１か月の懲戒処分にしました。この職員は、依願退職しました。

高松国税局によりますと、停職１か月の懲戒処分を受けたのは、県内の税務署に勤務する５０代の男性職員で、去年１２月までのおよそ１４年間にわたって実際には扶養していない別居の両親を扶養しているかのように装い、扶養手当などあわせておよそ２６８万円を不正に受給していたということです。

引用元：香川NEWS WEB

介護報酬と扶養手当を不正受給、返納渋る県職員を懲戒免職へ

福岡県職員が、母親が受給する生活保護を申告せず、約15年半、県から約142万円の扶養手当を受け取っていた問題。この職員が別に、母親の介護として不正に介護報酬を受けていた疑いが浮上した。県は近く、職員を懲戒免職とする方針。

　問題の職員は、福岡県企業局で再任用された60代の男性職員。母親が受給する年130万円以上の生活保護を県に申告せず、被扶養者の所得が年130万円未満でしか受け取ることができない扶養手当を受け取っていた。県は、職員に返納を求めているが、「故意ではない」として過去5年分の約48万円のみを返納。残りは、地方自治法の時効（10年）をもち出し、返納していないという。

引用元：NetlB-NEWS

まとめ

公務員の給与にとって、「扶養手当」は大きな収入です。もらえる資格があるのにもらっていない場合はかなりの損になります。

扶養親族の続柄	扶養手当支給額
配偶者※	6,500円
子	10,000円
子（16歳～22歳の年度）	15,000円
父母	6,500円
祖父母※	6,500円

また、申請が遅れたりするともらえなかったり、逆に返金しなければならないことがあるので注意が必要です。