
「公務員から転職するどうか」を迷っています。家族もいるし、周りから反対されそう。
本当にこのまま転職していいのかな。なんだかんだ言っても、公務員は安定しているし…
- 公務員から転職するメリット・デメリット
- 公務員から転職する前にやること
- 後悔しない転職活動を行う注意点

周りから見たら、『公務員を辞めるなんてもったいない』って思われています。
扶養家族がいるのであれば、なおさらですよね…
本記事では、「公務員から転職するリスク」「転職活動を行う注意点」を詳しく解説します。
『公務員から転職したい』と思っているけど、『後悔しないか不安』と思っている方は必見です。
結論を言うと、
あなたが20代で、扶養家族がいなければ、「公務員からの転職」もOKです。
あなたが30代以降であれば、公務員を簡単に辞めてはいけません。
公務員から転職したら、あなたがやりたいことはできるのでしょうか?そもそも、本当にやりたいことがあるのならば、公務員なんてすぐに辞めてしまっているはず。
でも、「イヤな仕事を我慢して、人生を過ごしてください。」と言っているわけではありません。
ぜひ最後まで読んで、辞めるという『最終選択』を冷静に判断してください。
公務員は安泰?【公務員の3つのリスク】

「公務員は安泰」
こんな言葉を一度は耳にしたことはあるでしょう。しかし、本当に「公務員は安泰」なのでしょうか?
ここでは、公務員で居続けることのリスクを3つ紹介します。
- 公務員の給与は減少傾向
- 公務員の退職者は増加している
- スキルが身につかない
公務の給与は減少傾向
総務省の令和3年度地方公務員給与の実態によると、地方公務員の平均基本給与月額は359,895円、賞与を除く年収は約431万円となります。
下の表を見てもらえればわかるように、公務員の給与は年々減少しています。
公務員の給与は人事院勧告によって決められています。
景気が悪くなったり、社会情勢不安などで給料は下がり続けます。今の日本では、公務員の給料は現状維持がいいところ、給料が上がることは考えづらいですね。

公務員だけ給料上げたら、国民の反発すごいもんね。
給与だけではなく、退職金も年々減少しています。
地方公務員(一般行政職)定年退職者の退職金平均額の推移は以下の通りです。
60歳定年退職者の平均支給額 | |
---|---|
令和2年度 | 21,392千円 |
平成31年度 | 21,262千円 |
平成30年度 | 20,816千円 |
平成29年度 | 21,389千円 |
平成28年度 | 21,675千円 |
平成27年度 | 22,198千円 |
平成26年度 | 22,809千円 |
平成25年度 | 23,602千円 |
平成24年度 | 24,368千円 |
8年間で約300万円の下落です。
今後も一般会社員との格差是正や法改正の影響で、退職金が徐々に減少していく可能性があります。

現在の20代・30代が定年退職を迎える頃の退職金は約1,000万円くらいになるのではないでしょうか。
公務員の退職者は増加している
公務員は「終身雇用で、定年退職以外で辞める人はいない。」
そんなイメージがあるかもしれませんが、最近は若年層を中心に、自己都合で辞める人もいます。
内閣府の調査によると、20代で自己都合退職をした国家公務員総合職は、2013年度は21人であったが、2019年度は87人で4倍以上に増えているとのこと。
年度 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
人数 | 21人 | 31人 | 34人 | 41人 | 38人 | 64人 | 87人 |
以下の表は退職理由をまとめています。
理由 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
自己成長できる仕事をしたい | 49% | 44% |
長時間労働等で仕事と家庭の両立が難しい | 34% | 47% |
収入が少ないから | 40% | 28% |
今後キャリアアップできる展望がない | 33% | 23% |

昔であれば、公務員は一生安泰でした。現在では、
「公務員という仕事の魅力は減ってきている。」というのが実態です。
スキルがない【転職市場での価値がない】
あなたは公務員という経験の中で、何か専門的なスキルを獲得できましたか?
これがYESであれば、転職市場での価値はあります。
しかし、事務系仕事が多い公務員に、専門的なスキルは獲得できていないことが多いです。

企業側からすると、何もスキルがない公務員より、ポテンシャルがある新卒大学生を採用するのが普通ですよね。
実際に転職サイトを見てみると、中途採用の求人欄には「〇〇における業務経験5年以上」などです。その中で公務員が応募できるのは「未経験歓迎」という求人のみです。
転職活動をやってみるとわかりますが、
「公務員という職歴は転職市場において、ほぼ無価値」です。
どれだけの価値があるので、診断をしたい方は、以下のリンクを参考にしてください

公務員から転職するメリット4選

公務員から転職するメリットは以下の4つです。
- 公務員の年功序列制度から抜け出せる
- 合法的に副業ができる
- 面倒な意思決定プロセスからの解放
- プライベートでビクビクしなくてよい
公務員の年功序列制度から抜け出せる
公務員はどれだけ努力しても、基本的には年功序列で給料が決まります。
公務員にも「人事評価制度」がありますが、公務員という仕事上、「業績」「成績」というものがないので、評価しづらいというのが現状です。

努力しない人にとっては、最高の職場ですが、頑張る人はストレスを抱えるだけです。
しかし、成果主義がとられている民間企業であれば、努力した分だけ、自分の給与に反映されます。
合法的に副業ができる
当ブログの記事「公務員の副業がバレる理由3つ!バレない方法ある?」に書いてある通り、公務員の副業は法律で制限されています。
民間企業であっても、必ずしも副業がOKではありません。
しかし、社会全体の流れとして「副業解禁」の動きがあるので、民間企業であれば、以前よりも副業しやすい状況になっているのは事実です。
面倒な意思決定プロセスからの解放
公務員が「何か」をしようとすると、係長→課長→部長の順に「OK」をもらわなければなりません。もし、修正があったり、上司との予定が合わなければ、1週間程度かかることは多々あります。

文章に修正があれば、また係長に戻ります。
大企業であれば、このようなことはあるかもしれませんが、公務員の仕事のスピード感はピカイチで遅いです。
プライベートでビクビクしなくてよい
公務員時代、近所の方に公務員であることを話すと、多くの場合、「嫉妬」や「偏見」を持たれることが多いです。
特に、新型コロナウイルスなどでの景気後退時期は、「公務員だからいいよね」といったこともよく言われました。

どこに行っても、「〇〇市役所で働いている〇〇さん」と言われて、自分の行動が監視されている気分です。
公務員から転職するデメリット3選

ここでは、公務員を辞めるデメリットを紹介します。
- 公務員ほど安定している仕事はない
- 家族や周囲の反対を押し切れるか
- 転職先を見つけれるか
公務員ほど安定している仕事はない
これまで、公務員のリスクなどを解説してきましたが、それでも民間企業のサラリーマンよりも格段に安定しています。具体的には以下の通りです。
- 自分で辞めたり、犯罪をしなければクビにならない
- 住宅ローン審査が100%通る
- 年功序列の昇給で人生設計が立てやすい
- 結果を残さなくても、給料に関係ない
改めて考えても、公務員は抜群の安定性があります。
家族や周囲の反対を押し切れるか?
公務員を辞めるための一番の難関は、「家族の反対」です。
「公務員は安定している」というイメージが強いので、「退職することはもったいない」と思われます。

家族であれば、「辞めない方がイイ」と言うのは当然です。
いきなり辞めてしまうのは、絶対にいけません。必ず家族を納得させてから辞めてください。
家族を納得させるには以下のような方法があります
- 現在よりも給料の良い仕事を見つける
- 副業をして、稼げることを証明する
いずれにせよ、見切り発車で退職すると家族が路頭に迷うことになります。
あなたが20代であれば、「勢い」で辞めるのも選択肢の一つですが、まずは「副業」などで最低限の収入を確保することです。
公務員からの転職先を見つけれるか?
あなたは公務員として働いていて、他にアピールできるような仕事経験ありますか?
公務員といえば、事務仕事が多く、ほとんどはWordやExcel。それくらいしかできないなら、新卒大学生を採用した方がいいですよね。
また、30代40代であれば年収600万円~700万円はあると思います。中途採用で、そのくらいの年収の求人はありません。
一度、転職サイトに登録してみて、どのような仕事をやりたいかを探してみてください。

公務員から転職する前にやっておくこと

ここからは、公務員を辞める前にやっておくことを解説します。
次の順序で公務員脱出をやりましょう。
- 副業をして、稼ぐ力をつける
- 早期退職募集制度を利用して、辞める
自分で稼ぐ力をつける【副業】
公務員をいきなり辞めることはリスクが大きいことは、これまでに解説してきました。
自分で稼ぐ力をつけることで次のようなことが実現できます。
- 月5万でも収入があれば、今後の選択肢が増える
- 稼ぐ力は、自分のスキルになる【転職に有利】
- 稼ぐことの難しさがわかる

でも、公務員は副業禁止って言われているよね?
副業禁止と言われますが、それでもやれることはたくさんあります。
詳細は以下のブログを参考にしてください。
早期退職募集制度(勧奨退職)で辞める

早期退職募集制度ってなんなの?

要するに、定年退職よりも早く退職することによって、多くの退職金をもらえることですね。
自己都合退職よりも、勧奨退職の方が圧倒的に多くの退職金がもらえます。30代後半から40代前半の方は、ご自身のお勤めの地方公共団体で確認してみてください。

そうすることで、退職金が全然変わってきます。
転職活動を行う4つの注意点

転職活動をするにも注意点があります。
- 転職エージェントに登録する
- 公務員より良い勤務条件は難しい
- 公務員には失業保険がない
- 年度末に退職する
転職先があるかどうか、転職エージェントに登録する
転職活動は退職してから始めるのでは遅いです。
まずは退職前に「転職エージェント」に登録して、求人情報を見てください。
実際に登録して、転職情報を見てみると
- 現在の自分の市場価値
- 公務員から転職できる仕事の種類
具体的な情報に触れることで、自分の市場価値、魅力的な転職先があるかどうかが分かります。

実際に見て、公務員が一番と思ったら、公務員を続ければいいですよ。
公務員より良い勤務条件は難しい
公務員からの転職の場合、「未経験可」の企業を探すことになります。
そうすると、現在の条件よりも勤務条件の良い企業はなかなかありません。
その理由として、「公務員で得るスキルは転職市場での価値がない」ということが挙げられます。

転職後に、結果を出して給料上げるしかないね。
公務員には失業保険がない
公務員は失業のリスクが少ないため雇用保険法第6条で雇用保険の対象外なので、失業手当がありません。

えっ、退職後の生活が不安…
その代わりに「退職手当」があります。以下を参考に算定されます。
- 退職前の給与
- 勤続年数
- 退職理由(自己都合、定年退職など)
勤続年数が短いと退職手当の支給額の方が、失業保険より少ない場合があります。
その場合、ハローワークで手続きをすれば、差額を受け取れる可能性もあります。
年度末に退職する
公務員の採用は基本的には年に1回です。そうなれば、年度途中に欠員があっても補充することはできません。
欠員分の仕事は、残っている人に回ってきます。
なるべくならば、円満退職をするために、年度末での退職を心がけてください。
まとめ【公務員から転職しないという選択】

今回は、公務員から転職するメリット・デメリットを解説してきました。安易に公務員を辞めてしまうと、人生設計がメチャクチャになってしまいます。
そうならないためにも、民間企業にいきなり転職するのではなく、「自分で稼げるスキル」をつけてください。そして、その「お金を稼ぐスキル」は転職活動で、有利になってきます。
- 自分で稼ぐ力をつける【副業】
- 稼ぐスキルを活かして、転職する
最後になりますが、
公務員に採用されるには、相当な努力をされたかと思われます。簡単に「辞める」という選択はしないでください。